第26話『夏型の腰痛 上』
前回は心因性の腰痛についてでした。
今回は、夏場に多い腰痛についてのお話しです。
(夏型の腰痛はなぜ起こる)
長年治療をしていると夏場に多い腰痛があることに気づきます。
これを、ここでは夏型腰痛と呼ぶことにしましょう。
地球温暖化の影響かも知れませんが、
特に最近多くなってきているように感じます。
ではなぜ、夏型腰痛が起こるのかを考えてみましょう。
☆気温上昇
なんといっても気温上昇による高温環境が最大の原因でしょう。
(大阪市の7月下旬~8月上旬頃をイメージしています)
わたしの子供時代は昼間33度ぐらいで暑いと感じていましたが、
最近では、同じ33度ぐらいだと少し涼しく感じます。
昼間35度以上は当たり前という気温になっているからです。
そして、夜でも25度まで落ちなくなってきており、
夜11時ぐらいに食後の散歩に出かける際にも、
玄関ドアを開けると、暖かい風が皮膚に触れるという状況です。
こんな環境では、身体は熱により疲労しやすくなり、
頭部のうつ熱や熱中症のリスクが大きくなります。
☆クーラー
当然クーラーなしでは生活不可能という状態になります。
夜間はほとんどの家庭が使用しています。
一般家庭では日中使用されていないところもありますが、
日中、事業所や店舗ではクーラーなしでは仕事ができません。
ふつう、多くは室温を25度前後にされています。
つまり、35度以上ある外気温とは大きな差が生じます。
もう一つの問題点は、
身体に優しい頭寒足熱になっていないことです。
クーラーで冷やされた部屋は、頭熱足寒になります。
窓は締め切られ、空気の移動が限定されますので、
クーラーから吹き出た冷たい空気は下に溜まります。
この状態で長時間いると自然に足腰が冷えます。
また、頭脳労働者は頭の中で発生した熱がこもり、うつ熱します。
その結果、冷えのぼせになるのです。
☆運動不足
ふだんは、よく歩く方でも、
日中かげろうが立つ灼熱の道を歩くことは容易ではありません。
炎天下での運動は熱による身の危険を感じることも多く、
歩くと健康に悪いと思える状態が続きます。
近くの歩行公園でも早朝か夜間にウォーカーは集中し、
昼間はほとんど歩く人がいません。
平均的に他の季節に比べ歩かなくなります。
つまり、運動量が減りあまり動かなくなるのです。
☆冷たい物の取りすぎ
気温が高い時期は水分代謝が活発なので、
水の補給は大切ですが、
冷たい飲み物を飲み過ぎる傾向があります。
足腰がクーラーで冷えているところに、
冷たい飲み物を取りすぎると、
身体が冷え体調を崩しやすくなります。
☆腎臓の疲労
水分代謝が活発になるだけでも腎臓に負担がかかりますが、
クーラーや冷たい飲み物の取りすぎ等で足腰が冷え、
そして歩行量が減るとゆるみ腰となり腎臓の機能が低下します。
☆自律神経の疲労
室内温と外気の温度差から体温調整を始め、
恒常性機能など身体を調節する自律神経が酷使され疲労します。
だいたい上のような原因が合わさることで、
夏型腰痛が発生すると考えています。
(夏型腰痛の症状)
つぎに、夏型腰痛の症状について検討してみたいと思います。
はじめは、漠然とした感じで受け止めていましたが、
よく観察すると、二つのタイプに分かれているように見えます。
A 背中から腰までが板状に硬くなるタイプ
B 背中から腰までがむくんで膨張するタイプ
このふたつです。
A 背中から腰までが板状に硬くなるタイプの症状は、
まるで、背骨が硬くなったような感じで、
背骨の両側の筋肉がカチカチになります。
どこが痛いというわけではなく、
背骨周りの柔軟性が低下し重苦しいといった感じです。
この原因は、自律神経の疲労ではないかと考えています。
なぜなら、自律神経の最高中枢は脳にありますが、
多くの部分は脊髄レベルで処理していると考えられているからです。
前述のような理由で自律神経が疲労した結果、
背骨全体に熱がこもりうつ熱し、
その周辺が硬くなっているように思います。
その証拠として、背骨とその周辺をほぐしてあげると、
治療中あるいは治療後に熱が発散し、
その後すうーっと楽になってくるからです。
B 背中から腰までがむくんで膨張するタイプの症状は、
胸椎の12番あたりから腰椎全体、およびその周辺まで、
背中の下の方から腰全体が重苦しく鈍痛があります。
上から両側を指圧すると痛いが気持ちの良い圧痛があります。
治療者側からは、
グニュッと水を含んだスポンジを押しつぶすような感覚があります。
あきらかに、膨張していることが手に伝わってきます。
このタイプは腎臓の疲労によって起こっていると考えています。
理由は、腎臓周辺が膨張していることと、
その周辺が他の部位に比べよく冷えているからです。
また、治療後の利尿効果が著しいこともあげられます。
A・Bの腰痛の共通項は、これといった原因の自覚がないことです。
腰を痛めたという自覚がないのです。
多くは症状発生してから、徐々に悪化します。
(夏型腰痛の解消法)
残念ながら、解消法まで行き着けませんでした。
次回、自力の解消法と他力の解消法について解説します。
--【ポイント】----------------
夏型腰痛は腰背中が硬くなるタイプと、むくんで膨張するタイプの2つ。
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