前回は、下の歩行速度の違いによる効果についてお話ししました。
1.緩やかな速度では、精神安定、消化器系機能増進に効果。
2.普通の速度では泌尿器系の修復、機能増進に効果。
3.やや速歩では、呼吸循環器系の機能修復、増進に効果。
4.速歩では筋力、骨強度、関節潤滑が高まり気力活力が充実。
歩くスピードの違いによって、
効果が現れる臓器や部位が違うという話は役に立ったでしょうか。
歩行スピードについての関係は解ったとして、
いったい、どれぐらいの時間歩けば良いのでしょうか。
これも大きな問題ですね。
なぜなら、歩行スピードと並んで、
効果を上げるためにとても大切な因子だからです。
じつは、上の4種類の効果を実感するためには、
最低30分以上の連続ノンストップ歩行が必要です。
「そんな時間ないよ」と思うかも知れませんが、
「やり始めたら止められない」という感じで、
とても気持ちいいですよ。人生開けるかも知れませんよ。
調子の悪かった十数年前のわたしの体験談ですが、
歩行療法を始めて1年ぐらいまでは、いろいろありました。
すねが痛んだり、腰が痛んだり、首が痛んだりと。
上の4の速歩をして30分ぐらい経つと、
きまって、古傷の首の関節が痛み出すのです。
そして、40分が近づいてくると、
判で押したようにすっーと痛みが抜けます。
もし30分で歩行を止めていれば、
歩くと痛むといった後味の悪い感じでしょう。
それが40分歩くとスッキリと気持ちいいのです。
以後、歩行療法を続けているひとに聞いてみると、
同じようなことを言っているひとが、一杯います。
これは、有酸素運動の理論などとも関連しているでしょうが、
それとは関係なく、「骨格が矯正されるために必要な時間」
といったような意味もあるように思います。
そういうわけで、できれば
40分以上ノンストップで行いたいものです。
日常の治療の中で指導するときは、
もちろん相手を観て歩行時間を提案しますが、
骨格の歪みが強いひとの場合には、
「毎日1時間以上歩いて下さい」ということもあります。
なぜそうなるかというと、前にもふれたように、
歩行で骨格の矯正が可能だからです。
そして、ある程度時間を長くした方が矯正力は高まります。
治療が必要な場合でも、歩行療法を併用すると、
ほとんどの場合で、回復力が増し治療回数が減ります。
こうして、いままで歩行療法と整復法などを併用して、
多くの骨盤の歪み、背骨の歪み、頭蓋や足の歪みなどと、
それが原因として起こる諸症状を取り去り、
数々の成果を上げてきたのです。
しつこいようですが、
治療だけの場合と、歩行療法を併用した場合では、
治療期間や回復速度に大きな違いが生まれるのは確かです。
ときには、治療が歩行療法の補助であることもあるぐらいです。
もし、金儲けのために患者を引っ張りたいのであれば、
ここだけで充分です。歩行しないで下さいと言うでしょう。
でも、実際は良心が許さないのでそんなこと言えないのです。
そうはいったものの、
70代以上のひとの多くには、そんな指導もできません。
理由は、脚力不足でそんなに歩けないからです。
もし歩けたとしても、疲労とのかねあいを考える必要があります。
疲労が溜まっていったのでは、回復力が低下するからです。
治癒力が低下したのでは、本末転倒になってしまいますし、
無理して、転倒して大ケガでもしたら、それこそ元も子もありません。
こんな場合は、相手を観て10分でも良いという場合もあるわけです。
理想は理想として大事ですが、
現実に照らし合わせて対処しなければいけません。
そんなこんなで、一般論として最適なのが、
効果は高く、疲労も出にくい時間の40分となるのです。
ですから、もの足らないひとは1時間でも良いのですよ。
時間のことは、ご理解いただけたとして、
どれくらいの頻度で歩行療法をすればよいのでしょうか。
これについては、毎日歩くことが理想とされていますが、
わたしの意見としては、
必ずしも毎日でなくても良いのではないかと思っています。
経験則では、週に3~4日行えば、
毎日の場合とあまり差がないように思います。
ですから、1日おきでも良いと考えています。
ただ、週に1回では、ほとんど効果がないので、
週2回は最低押さえる必要があるでしょう。
そして、週に2回程度しか歩けない場合は、
1回の時間を40分よりも長くしたほうが良いと思います。
とはいえ、何よりも大事なのは、「つづけること」です。
いちばん大切なことは習慣にしてしまうことです。
そういう意味では、
初めは無理のない時間や頻度で行い、
とにかく継続していくことがとても大切です。
最後に歩くときの呼吸法についてお話ししましょう。
歩行中の呼吸法のコツは、
吸うことより、吐くことに意識をおくことです。
歩きながら、たまにチェックして下さい。
どうするかというと、
風船をふくらませる時のような感じで、
口先を細めてほっぺたをふくらませ、
「ふぅっー」と力を入れ素早く息を吐きます。
この時、自然にお腹をへこませ、お腹に力がはいります。
これをすることで、姿勢が最適化されます。
毎回すると呼吸が乱れるので、
数百メートルに一回ぐらい行ってください。
以上、いろいろポイントをお話ししてきましたが、
歩行療法というのは、
「誰にでもできる」「全国どこでもできる」「お金がかからない」
良いことずくめで自分ひとりで行える治療法であり健康増進法です。
現代は都会を中心に交通機関が発達し、とにかく便利になりました。
地方であっても車や自転車など便利な乗り物があふれています。
むしろ、地方の方が、車社会になり歩く量が減っているとも聞きます。
この便利さが皮肉なことに、人間のからだに仕組まれている力、
治癒力、回復力アップの決め手であり健康増進の源泉である、
歩行の量と機会を減らしているのです。
日常の治療現場では、
歩行不足が関与していると考えられる症状は数多くあります。
何とかしなければという、危機感はいつもあります。
けれど、理解してもらうのは意外と難しいのが現実です。
何年か前の話ですが、
英国では医療費を削減させるために、
国家をあげてウォーキングに取り組んでいるそうです。
我が国も、もっと積極的に推進してほしいものです。
多くの国民が理解し、実践しだしたら必ずすごい結果が出ます。
医療費の問題も解消されるのではないでしょうか。
おそらく、今の何分の一かになると思います。
わたしは一人でも多くの方が歩くことの重要さを再発見され、
日課にされることを切に願っています。
【ポイント】
いろいろな角度から観て、
歩行療法は自分一人でできる最高の運動療法であり治療法。
そして、健康増進のために欠かせないもの。

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