今週は、歩行速度や歩行療法の具体的な効果をお話ししましょう。
まず歩行スピードの要点を並べてみますね。
考えてみれば、ごくごく当たり前のことばかりですが、
たまに、勘違いするひとがいるので念のため。
速度は身長が低いほど遅く、
身長が高いほど速く歩くこと。(歩幅が違うため)
歩行療法の初心者は遅めで、
熟練するに従って速く歩くこと。(からだが適応するのに期間がかかる)
40歳ぐらいまでは速く、
年齢が高齢になるほど遅く歩くこと。(骨盤の柔らかさが違うため)
体力があるひとほど速く、
体力がないひとは遅く歩くこと。(関節強度や筋力が違うため)
ざーっと分けてみましたが、
それぞれの現状を把握した上での判断が必要になります。
このように、一概には言えず、
そのひとによって適正な歩行のスピードは違います。
また、もうひとつ、ビックリするような理由があります。
それは何かというと、
歩行療法の目的によってスピードが変わるからです。
なぜ目的によってスピードが変わるのかというと、
歩く速度によって心身に現れる効果が違ってくるからなのです。
このスピードによって効果が変わるという発見は、
画期的な研究成果だと思います。
30年ものあいだ「生理歩行」の研究をされている
日本構造医学研究所の資料から面白いことがわかります。
1.緩やかな速度では、精神安定、消化器系機能増進に効果。
2.普通の速度では泌尿器系の修復、機能増進に効果。
3.やや速歩では、呼吸循環器系の機能修復、増進に効果。
4.速歩では筋力、骨強度、関節潤滑が高まり気力活力が充実。
という研究成果が報告されています。
http://www.e-ep.jp/cgi-db/s_db/kensakutan.cgi?j1=4-7825-2054-9
構造医学 吉田勧持著 エンタプライズ刊より
ここは大切なので、一つずつ説明していきましょう。
自分にあった正確なスピードを知りたい方は、本を買って下さい。
本の中には、身長別のスピードが書かれています。
内容がちょっと難しいので、実際やってみての、
わたしの感じたイメージを中心にお伝えしましょう。
1.の精神が安定したり胃腸など消化器系の機能が改善する
緩やかな速度とはどれぐらいのスピードでしょうか。
これは考え事をしながらポクポク歩く速さの歩行をいいます。
このスピードで歩くと胃腸の調子が良くなるのです。
消化器系の自然治癒力が高まると考えて良いでしょう。
食後の歩行にはおすすめです。
食後は消化器系に血液が回るので、
速い歩行はオススメできませんが、
このスピードであれば胃がこなれて気持ちよいです。
2.の普通の速度とは、
ゆっくり考え事はできない速さですが、呼吸が乱れるほどではなく
気分良く腕を振って歩ける程度のスピードをいいます。
このスピードで歩くと腎臓や膀胱などの機能が活発になり、
調子が良くなります。
わたしの場合は直後からおしっこの出が良くなり、
足のむくみがとれます。
3.のやや速歩とは、どれぐらいの速さでしょうか。
夏場であれば汗がにじみ、
冬でも体が温まるぐらいのスピードです。
初心者や運動不足のひとなどであれば、
息を切らしながら黙々と歩かないと出せないスピードです。
このスピードで歩くと、心臓や肺の機能が整います。
呼吸循環器系の症状があるひとで、
ドクターから歩行の指示があるひとには、
目標となるスピードかも知れませんね。
4.の速歩とはけっこうスピードの乗った歩行です。
初心者や運動不足、高齢者や体力が弱いひとには負担が重く、
いきなりやらない方が無難でしょう。
負けず嫌いのひとが、いきなりこのスピードで歩いて、
それが原因ではじめて数週間以内に腰痛やぎっくり腰になった
という例を過去に数例みています。
しかし、ある程度の期間を経て、
体が出来てくるとそれほどキツクはありません。
またランニングのように肘を曲げたまま、腕をしっかり振らないと、
このスピードで安定して歩くことは難しいです。
元気な170㎝ぐらいのひとで1㎞10分ぐらいのスピードです。
このぐらいのスピードで歩けるようになれば、
筋肉や関節、骨まで強くなっていき、活力がみなぎってきます。
ひとりで歩くときにはこのスピードで歩けるのですが、
わたしは通常家内と会話をしながら歩いていますので、
どうしてもこのスピードより遅くなってしまいます。
歩行とコミュニケーションの両立もそれなりに難しいのです。
どうでしたか、歩くスピードによって効果が違うということが、
わかっていただけたでしょうか。
これが歩行療法を行う場合、個別対応での指導が必要な理由です。
それぞれ弱点を知り、強化すべきポイントを知り、
その強化を含めた目的によって、スピードを決めなくてはいけません。
次回は歩行療法の最終回です。
歩く時間というテーマで考えてみましょう。
【ポイント】
歩くスピードの違いによって、現れる効果がかわる。

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