(肩こりにもつながる腰痛の話)第11話
前回まで解説してきました「ゆるみ腰」の対極にある、
「締まり腰」とは何かについて、今回からお話ししましょう。
骨盤(仙腸関節)の障害は、大きく2種類に分けられます。
仙腸関節がゆるむことで障害を起こす「ゆるみ腰」系統
仙腸関節が締まることで障害を起こす「しまり腰」系統です。
仙腸関節は骨盤の動きを作るメインの大きな関節ですが、
その場所は、意外と理解されていません。
「ここで、仙腸関節の場所を確認していただきましょう」
「親指をお尻側にして骨盤の出っ張りに手を当ててみて下さい」
「いま親指が当たっているお尻の、もう少しだけ後ろ側にある、
ボコッと出た骨の下奥で、仙骨を挟んでいるのが仙腸関節です」
ちょっと難しいですが、おわかりいただけましたか?
前にも説明しましたが、仙骨を挟んでいる左右の仙腸関節は、
歩くごとに、カシャカシャと一定のリズムで動いています。
じつはこの時、関節内で複雑な動きをしていますが、ポイントは、
仙腸関節が緩んだり締まったりを繰り返しているということです。
歩行をすると、自動的に仙腸関節が緩んだり締まったりと、
くり返し動いていて、からだのバランス調整をしているのです。
だから、歩行量が多い人は自然と健康に向かうのです。
まあ、その話は別の機会にするとして、
とにかく、仙腸関節は身体にある多くの関節の中でも、
最重要のツボといえる関節なのです。
話を「しまり腰」に戻しましょう。
「しまり腰」とは、ゆるむ、締まるという仙腸関節のリズムの中で、
あまり緩まず、締まりすぎるという方向にぶれた状態です。
つまり、適度に動くネジが、締まる側に偏った状態といえます。
ただ、仙腸関節が全然動かなくなっているわけではないので、
急性でない限り、多くは歩くのに支障はありません。
では、なぜ「しまり腰」になるのでしょうか。
その原因を説明しましょう。
ひとつは、どちらか一方の仙腸関節が
「ゆるみ腰」になった場合です。
骨盤は上から見ると環状につながっています。
つまり、片方が「ゆるみ腰」になると、
反対側は「しまり腰」になりやすくなります。
そうやってバランスをとっているとも言えるでしょう。
このように、「ゆるみ腰」+「しまり腰」の組み合わせは、
日常、臨床の場でも、数多く遭遇するパターンです。
この場合は、ほとんど「ゆるみ腰」を治療すると、
同時に「しまり腰」も治ってしまいます。
緩んだネジを適度に締めてやると、反対側も正常化します。
そういう意味では「しまり腰」は、
「ゆるみ腰」の影響で発生する仙腸関節の状態といえます。
この「しまり腰」の状態が慢性的になると、
骨盤が締まる方向に偏った状態が固定化しますので、
歩行姿勢に柔らかさが無くなり、スムーズさも低下します。
しかし、よく歩く人や、歩行療法をつづけている場合は、
もし「しまり腰」になっても、歩行中に治ってしまいます。
ところが、現代は自動車をはじめバイクや自転車など、
便利な乗り物が多く、歩く習慣のない人が増えています。
歩く量が多いのが最大の長所だったゴルフにしても、
近年は、ゴルフ場内での移動は、乗用カートに乗りますので、
打ちっ放しとほとんど変わらず、運動の効果は低下しています。
このように、「しまり腰」は、
「ゆるみ腰」に付随して出てくることが多く、
「ゆるみ腰」が治ると同時に良くなるのです。
問題は、時間の経過とともに、ネジが錆び付くが如く、
「しまり腰」を起こしている側の仙腸関節の動きが悪くなり、
自動的には、戻らなくなった場合が、やっかいなのです。
このやっかいな状態を「かみこみ腰」と名付けました。
次回からは、この「しまり腰」が進行した
「かみこみ腰」について、お話ししますのでお楽しみに。
【ポイント】
「ゆるみ腰」は仙腸関節というネジが緩んだ状態。
「しまり腰」は仙腸関節のネジが締まった状態をいう。
そして、締まったネジが錆び付いた状態を「かみこみ腰」という。

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