今回からは、全く違うジャンル、頚部捻挫のお話しです。
(間違いだらけのむちうち治療)
みなさまの周りに、
こんな方はいらっしゃらないでしょうか?
たとえば「10年前に追突されて首を痛めたところが今も治らない」
また、「5年前にスノボで首を捻挫したところがまだ痛む」
こんな方は、適切な処置をしていないから治らないことが多いのです。
なぜ、そんなことが言えるのかといいますと、
日常の臨床で、そういう方をよく見かけるからです。
「半ばあきらめられている方」も少なくありません。
たまたま、腰を痛めてお越しになり、
腰の治療をしているうちに、
むち打ちが原因で首や肩が痛む、あるいはこるといった症状を、
打ち明けられる方が以外と多いのです。
はじめから、治療しても治らないと勘違いされているのです。
その理由は、
交通事故やスポーツでの首の捻挫直後に、
見当違いな治療法をされているからです。
病院やクリニックでレントゲンを撮り、
その結果、ただの捻挫で骨に異常なしと診断され、
シップや痛み止め、炎症止めだけの処置で終わった
などの話をよく聞きます。
また、リハビリで牽引されたり、温熱療法をされるなど、
トンチンカンな治療をして治らなかったという話も多いです。
そして、20年前も、現在も同じような状況が続いています。
見当はずれな治療をいくらしても治らないのです。
(むちうち損傷とは)
ここで、頚部捻挫の中でも特徴的な
むちうちについて簡単に説明しましょう。
むちうちは、自動車に乗っていて追突されたときなどに、
よく起こす首の損傷のことで、交通外傷の代表的な損傷です。
また、スノーボードやスキーなど、
首に衝撃を受けやすいスポーツでも起こします。
むちうちとは、首がムチのようにしなって痛めるので、
その連想からついた通称で正式な医学用語ではありません。
じつは、この名前が問題なのです。
というのは、名前から来るイメージのせいで、
この頚部損傷の本質を見誤りやすいからです。
実際、それが原因で多くのむちうち損傷は治っていません。
何が言いたいのかというと、
最初の一撃があり、つぎにむち打つ動作が起こるのです。
つまり、むちうつ直前、
最初の一撃時に、すでに首は痛めているのです。
まだ、ピーンとこないでしょうから、
自動車運転時にうしろから追突されたときを例に説明します。
ぶつかった瞬間、何が起こるかというと、
うしろの車のフロントが前の車の後方に衝突した瞬間、
この時、ガツンと衝撃が伝わります。
じつは、この一撃で首を痛めているのです。
痛める場所は、頭頚移行部といって頭の付け根です。
後頭部の下の方といった方が分かりやすいでしょうか。
その直後、二次的にむち打つ様に首が大きく動きます。
確かにこの時、首後方に引っ張られる力がかかるので、
捻挫により筋肉や靱帯など軟部組織を痛めます。
むちうちの問題点は、
二次的に起こることが全てだと思われており、
最初の一撃のことが無視されているからなのです。
(最初の衝撃で起こること)
人間の頭は、成人で4~5kgと結構重く、
その下にある頚部は絶妙のバランスで頭を支えています。
衝突の瞬間に生体カンナ効果という力が働き
頭が後方に動くことが確認されています。
この時に頭と首のつなぎ目をすでに痛めているのです。
ところで、みなさまは大工仕事で使う
「カンナ」っていう道具をご存じでしょうか。
木の表面を薄皮を剥ぐように削る道具のことで、
そのカンナから生体カンナ効果という名前が付いています。
カンナを使ったことがある方はピーンと来ると思いますが、
使ったこと無い方にはさっぱり分からないかも知れません。
別の例を挙げましょう。
たとえば、たばこの箱からタバコを出す時に、
開け口の方向から指先で箱をたたくと、
たばこが中からポンと飛び出してくるというのも同じ原理です。
いったい何が言いたいかといいますと、
後方からの衝撃の瞬間に、
首に対して遙かに重量が重い頭がカンナ効果で後ろにずれる。
これが頭頚移行部で起こります。
つまり「関節に位置関係のずれ」が発生するわけです。
これを見落として、
その次に起こるむち打ち現象による
首周辺の軟部組織の損傷にだけにフォーカスされているので、
その本質が抜け落ち理解されていないのです。
このカンナ効果が見落されていることが、
むちうち損傷が治りにくい代表的な理由です。
お疲れ様でした。少し難しい話になりましたね。
今日は、この辺で終わりにしましょう。

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