(肩こりにもつながる腰痛の話)
第29話『椎間板ヘルニアの腰痛』
前回は夏型腰痛の治療法についてでした。
今回は、椎間板ヘルニアによる腰痛のお話しです。
(椎間板ヘルニアについて)
椎間板ヘルニアについては、多くのサイトで説明されています。
(分かり易いサイト) http://hernia.lumbar.jp/head1.html
椎間板ヘルニアは詳しい専門家も多いので、ごくごく簡単に説明し、
あまり知られていないことを中心にお話ししましょう。
椎間板というのは背骨と背骨を繋ぐクッション部分で、
背骨の柔らかい動きを作っている柔軟成分ともいえます。
ヘルニアというのは、臓器が脱出することをいうので、
椎間板ヘルニアは、
背骨間にあるクッションがつぶれてはみ出した状態といえます。
では、はみ出したら何が問題なのでしょうか。
周りの神経を圧迫することによる障害が出るからです。
具体的には、お尻から脚にかけて神経痛などの症状が現れます。
多くは、左右どちらか片方に、中には両方に出ることもあります。
もうひとつは、患部の背骨自体が不安定となり腰痛が出ることです。
連続している背骨の一部が破損したために痛むのです。
(急性のヘルニアと慢性のヘルニア)
とはいえ、急性のヘルニアと慢性のヘルニアでは、
全く対処の仕方が違いますので注意が必要です。
急性のヘルニアは、ある日突然、運動した時など、
背骨に曲げや捻りの力が働いたときに起こります。
いわゆるぎっくり腰として扱われることが多いです。
ヘルニアを伴わない腰部捻挫との違いは、
一見分かりにくいのですが、症状の程度で判断できます。
といっても、確実にヘルニアの存在が分かるのではなく、
ヘルニアの疑いが有るものと心配が無いものとに分かれます。
もし、ヘルニアの疑いの有る場合には、
提携している病院でMRI検査を受けて頂きます。
MRI検査の結果は画像でくっきりと出ますので、
急性期のヘルニアがあるかどうかは一目瞭然に分かります。
なぜ、ヘルニアの有る無しを見分ける必要があるのかというと、
有る無しで、治るまでの期間が大きく変わるからです。
(ヘルニアが有る場合)
急性期のヘルニアが有る場合は、
程度や脱出している場所によっても変わりますが、
3ヶ月程度は症状が消失しません。
これは、なぜかというと、損傷部の椎間板の修復と、
脱出した髄核などの吸収処理に相当の時間がかかるからです。
たとえば、足首を捻挫した場合と比較してみましょう。
捻挫直後は、靱帯などの軟部組織を痛めて内出血で腫れあがります。
しかし、損傷部の整復術や氷水での冷却、ギプスや包帯での固定など、
最適な処置をすれば、やがて腫れは引き痛めた組織は修復されます。
はじめ痛くて歩けないような捻挫でも、2~3週間も経てば治ります。
それに比べて椎間板ヘルニアの場合は、
椎間板という軟部組織が破れて損傷し、
内容物が脱出するのですから内出血で腫れるのと似ています。
本当は、足首の捻挫の場合と同じように、
関節の位置関係の整復や局所の冷却、安静固定が必要です。
しかし、分厚い腰や背中の筋肉に阻まれ冷やしにくいですし、
多くの骨が連結している部分なので、位置関係の整復も難しく、
日常生活で大黒柱として曲げや捻りで必ず使う部分なので、
安静固定もしにくいという事情があります。
おまけに、血行が悪い部分なので回復スピードが遅いのです。
このように、足首の捻挫と比べれば回復条件が悪いのです。
そのため、治るまでに3ヶ月以上の時間がかかるのです。
(ヘルニアが無い場合)
一方、急性のヘルニアがない場合、
程度が軽ければ、治療をすれば1週間以内で治ります。
この急性の椎間板ヘルニアと間違う腰部捻挫は、
多くの場合『かみこみ腰』という骨盤の障害が原因なので、
「かみこみ腰」を整復術で元通りに復元し、
骨盤の動きを正常に戻してやれば、最短期間で治ります。
軽い場合は、1回の治療で翌日には治ることもありますし、
程度がキツイ場合でも、1週間あれば楽になります。
このように、一見似たように見える腰部捻挫でも、
椎間板ヘルニアが有る場合と無い場合では、
治るまでの期間は大違いということになります。
(いつまでも症状が消えない場合は「かみこみ腰」)
何ヶ月、あるいは何年たっても症状が消えない場合は、
ほとんどが「かみこみ腰」が治っていないケースです。
「かみこみ腰」というのは、
骨盤にある仙腸関節の動きが、かみ込んで制限され、
正しい動きができなくなっている状態をいいます。
バックナンバー参照「かみこみ腰」
http://kenkokagaku.typepad.jp/blog/2008/09/post-730a.html
「かみこみ腰」を治せる治療施設は大変少なく、
治療施設の10件に1件も治せない現状があります。
しかし、平均的な治療院では症状の軽減は可能ですので、
慢性化して「腰痛とお友達状態」になってしまうことがあります。
そして、時にぎっくり腰を繰り返すというパターンになるのです。
(慢性の椎間板ヘルニアは怖くない)
最後に、慢性の椎間板ヘルニアについて少し解説しましょう。
MRI検査の結果でヘルニアが出ていても、
慢性の椎間板ヘルニアの場合は怖くないのです。
なぜなら、慢性のヘルニアは過去に起きた急性ヘルニアの形跡、
もしくは、まだ、椎間板が脱出していない状態だからです。
もう少し簡単にいうと、過去のヘルニアの証拠や、
椎間板ヘルニアの危険性があるところと考えればいいからです。
ですから、局所のマッサージや指圧、運動や姿勢の指導などで、
未来に起こる椎間板ヘルニアを防ぐことが可能です。
日常の臨床の中で、その比率をふり返ってみると、
急性の椎間板ヘルニアは「かみこみ腰」の10分の1以下です。
その事実から、椎間板ヘルニアのせいで腰痛がある、
と思っている方の9割以上は「かみこみ腰」なのです。
もっと「かみこみ腰」を治せる治療施設が増えて欲しいものです。
数多くの「かみこみ腰」による腰痛を治すこと、
そして、そのきっかけを作ることは、
このメルマガの使命の一つだと考えています。
--【ポイント】----------------
急性の椎間板ヘルニアと慢性のヘルニアは全く違う。
慢性のヘルニアの正体は、ほとんどが「かみこみ腰」だ。
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