22話 柔道セラピー(下)
「柔道セラピー」は、本来日本古来の伝統医療。
しかし、その実態は、東洋医学と西洋医学が混ざった雑種の療法。
だと前回紹介しました。
今回は、整骨院の実態をざーっとお知らせしたいと思います。
〈整形外科の代替機能〉
最近では、整形外科がどこにでもありますが、
わたしが開業した頃。20年ぐらい前は、その数が少なく、
整骨院は、その代替機能を果たしていました。
例えば、骨折や脱臼の急患は頻繁に訪れていましたし、
とにかく、ケガをしたら整骨院という時期がありました。
それから、徐々に整形外科が増えてきて、
骨折や脱臼をはじめ、レントゲン検査が必要なケガは、
直接、整形外科を受診するという流れに変わっていき、
そして、整形外科と競合する時代になっていきました。
そして、医療ネットワークの中で、
整形外科が増え続け充実した昨今では、
整形外科の代替機能としての整骨院の使命は、
まもなく終わりつつあると感じています。
現に、整形外科で働く柔道整復師は数多くいます。
ですから、整形外科の代替機能がメインで、、
方向転換していない整骨院の多くは苦境に立たされています。
腕が良くてもダメな時代になってきているのです。
やはり、時代の流れには逆らえないものですね。
しかし、腕の良さを利用して方向転換した整骨院も見受けられます。
〈スポーツ障害やコンディショニグ〉
その一部は、プロスポーツ選手や運動部の学生、
スポーツ愛好家などのニーズをとらえ、
治療やコンディショニングを行う施設として存在します。
実際、スポーツに怪我はつきものといえますし、
その可能性を減らすことは大切なことだと考えます。
また、多くの柔道整復師は、
養成学校時代に柔道をする環境に置かれますので、
スポーツマンタイプが多いことから、
スポーツ障害や治療を身をもって体験している者も多く、
スポーツ愛好家との親和性が比較的高いように思います。
このような治療家でトレーナーでもあるという整骨院は、
スポーツ愛好家の支持の上に存在感を発揮しています。
〈代替療法の百貨店〉
つぎに紹介するのは、代替療法の百貨店のような整骨院です。
柔道整復の保険治療をベ-スにしながらも、
それだけにこだわらず、気に入った代替療法を取り入れ、
クライアントのニーズに合わせて提案したり、
いろいろな代替療法の長所を組み合わせて、
その相乗効果を狙ったりしながら、
より満足度を上げようとしている整骨院です。
たとえば、○○ダイエット、○○式整体などの組み合わせや、
アロマセラピー、リフレクソロジーなどの組み合わせ、
中国針、吸い玉、気功などの組み合わせまで千差万別です。
このように数種類の代替療法を施術する整骨院が主流です。
受け手にとっては、より広い選択肢が与えられますし、
それぞれの代替療法の相乗効果も期待できます。
自分で治療法を選びたい向きには受け入れられやすく、
そういう意味では、間口が広い整骨院といえましょう。
〈保険が使えるクイックマッサージ屋さん〉
近年、都会を中心に一番繁盛してきているのが、
このタイプの整骨院です。
一言でいえば、
保険が使えるクイックマッサージ院が適当かなと思います。
たいていは、外から内部が見えやすく作ってあり、
マッサージチェアに座って施術しているところが見えたりと、
とても親しみやすく入りやすい施設として作られています。
実際、中にはいると「いらっしゃいませ」というところも多く、
気軽な気持ちでかかれる雰囲気が漂っています。
このような施設は、治療を目的としておらず、
慰安目的で作られているので、
ある程度は受け手のわがままを聞いてもらえます。
信じられないほど安い価格設定のところも多く、
月に1500円で毎日通っても良いとか、
中には、保険証を見せれば、その月無料というところもあります。
安くて、長い時間もんでくれて、話も聞いてもらえるのですから、
繁盛するのは、当たり前というところでしょうか。
医療保険で処理することが良いか悪いかは別として、
多くのお客の支持を集めていることは事実です。
こういう形態の整骨院はどんどん増えてきています。
チェーン展開しているところの多くは、この手の整骨院です。
〈出張中心の整骨院〉
最近は、出張中心の整骨院もあります。
家まで来てくれて、注文どおりに針やマッサージをしてもらい、
1回数十分、500円程度の支払で済むところもあります。
もちろん、医療保険の往診治療で行っているのでしょうが、
一部負担金を割安に設定し、お客の負担感を減らすことで、
圧倒的なお得感を演出されているようです。
これなどは、お客の満足度はかなり高いものと思います。
このように、ひとくちに整骨院といっても一様ではありません。
治療をしているところ有り、治療はしていないところ有りです。
また、治療をしているところでも、
保険のみのところ有り、保険外でやるところ有りです。
そして、その治療の内容はというと、
電気治療とマッサージの組み合わせが多いものの、
その他の方法で行うところもあり、
整骨院とは、こういうところとは言えないのが現状です。
友人の開業医との話の中で気づいたことがあります。
彼が日常の診療の中で困っていることの一つに、
「転倒防止や寝たきり防止の運動指導や施術をしてくれる所がない」
「老人の治療は出来るが、それ以上は手が回らない。」
という悩みがあるのだそうです。
そして整骨院で「このような、老人のケアはできないものか」
という切実な問いがありました。
それを聞いて、これこそ整骨院の得意分野に違いないと思いました。
法律のことは、簡単に変えられないのかも知れませんが、
多くの老人や、その家族のニーズに応えるためにも、
老人が寝たきりを防ぎ、病気ならずに健康の維持するためにも、
全国に数多くある整骨院の存在が役立つはずです。
整形外科の代替機能の時代は終わろうとしています。
これからの整骨院は、新たな使命を担う時が来ています。
国民のための整骨院として本来あるべき姿としては、
クイックなどの慰安に走るのが本道ではなく、
医療を側面からサポートし、社会貢献するのが、
王道だと考えます。
次回(106号)からは、アロマセラピーについてお話しします。
【ポイント】
整骨院の仕事は、新しい局面を迎えようとしている。
邪道は保険を使うクイックマッサージ屋、
王道は、国民の要望が高く支持が得られるものが望ましい。
